自動車メーカーにとって、 コネクテッドカーソフトウェアの 今日、そして明日の 最大の課題とチャンスは何でしょうか?

2021年10月27日

自動車業界は、急速かつ急激な変化を繰り返しています。特にコネクテッドカーのソフトウェアでは、サービスと機能がますます複雑になっているため、この傾向は顕著です。このことは、自動車会社に課題とチャンスの両方をもたらします。自動車会社は、この新しい技術環境で何が求められているのかを知る必要があります。この記事は、OEMの課題とチャンスに関するシリーズの第2弾であり、私たちがすでに目にしはじめている主な開発のいくつかを紹介します。これらは自動車会社と未来のコネクテッドカーサービスにどんな意味を持つのでしょうか?

新しい車種には、新しいバックエンドが必要なのでしょうか?

自動車会社の多くが、バックエンドを数年ごとに切り替えています。これは通常、新しい車種や自動車プラットフォーム/セグメントの発売の一環として行われます。たしかに、古いソリューションを交換することや、新しいソリューションを現在のセットアップに追加することは魅力的に見えるかもしれません。しかし時間が経つにつれて、自動車会社は何世代もの自動車に対応した複数のコネクテッドカークラウドを維持することになる可能性があります。そうなると、バックエンドのソリューションはバラバラになり、運用が必要以上に複雑になり大きなメリットも得られません。さらに、新しいコネクテッドカーサービスの生産と開発をよりスリムで、コスト効率の良いものにすることがますます難しくなっています。

したがって、バックエンドのソリューションを新たに構築するか、既存のクラウドの拡張・改良するか、どちらが望ましいかを検討することが非常に重要です。いずれにしても、運用全体を社内だけで行わないことです。コネクテッドカーとその外部システムで必要とされる数百万行のコードすべてに、一つの企業や一つの部門が精通することはできないからです。外部パートナーが専門知識や異なる視点を運用にもたらし、コネクテッドカーサービスをより良いものにするのです。

持続性があり徐々に改良されていくコネクテッドカーサービスを創る

新車の開発は、一般的にプロジェクトの開始から製造開始まで、平均4年ほどかかります。平均的な車種は約7年間製造されます。これに平均15年の自動車会社の保証期間が加わります。つまり、次に発売する車種への搭載を計画しているコネクテッドカーサービスは、20年以上使われ続けることになります。

つまり、これらのサービスの寿命が尽きるまで、継続的なメンテナンスとサポートが必要なのです。このため自動車会社は、コネクテッドカーサービスの監視・運用・更新を簡単にしなければなりません。互換性や性能が異なる多数のバックエンドソリューションを使うことは最善の方法とは言えないでしょう。

リモートサービスのような一般的なサービス(たとえば車のリモートロック解除など)の大半は、根本的に変更されることはほぼありませんが、時間をかけて微調整され、徐々に改良される必要があります。WirelessCarでは、コネクテッドカーサービスを構築する際、新しく実装するたびにカスタマイズや調整できるようにします。これは車両ロジックを抽象化することで、ソフトウェア(モバイルアプリケーションなど)が、使用される車のあらゆる側面を知る必要がないということです。コネクテッドカーのソフトウェアは、世代や仕様や車種が異なっていても、その車が何をどのように通信したいかを知っています。コネクテッドカーサービスを何年間も何十年間も使用でき、継続的に改善できるようにするのは、ソフトウェアソリューションなのです。

Greatest connected car software challenges and opportunities for car makers

コネクテッドカーサービスを分けるか、並列バージョンを作るか、どちらが良いのでしょう?

コネクテッドカーサービスが大きく変化した場合、重大な選択をしなければなりません。新しい別のサービスへと転換するか、異なる車種向けに並列バージョンを同時に走らせるか。これはどちらが良いか悪いかという問題ではなく、最も有益で便利なソリューションをいかに見つけるかということです。

たとえば、2020年代以前に作られた車向けに、あるリモートロック解除ソリューションを使い、2020年以降に作られた車には別のソリューションを使うということに本質的なメリットはありません。一方、多世代にわたる主要なコネクテッドカーサービスは、それ自体が複雑になりすぎる可能性があります。モデルX用に2020年に構築され、プラットフォームYから提供されるサービスは、北米ではある方法で機能し、欧州では別の方法で機能することになる可能性があります。

どちらの選択肢も有効ですが、よりよいサービスをできるだけ容易に構築と管理ができるように、未来に向けた最善の道を検討する必要があります。

コネクテッドカーのソフトウェアは複雑になるばかり - この課題にどう取り組むか?

新しい車、特に電気自動車では、部品点数やハードウェアのバリエーション数は減り続けます。その一方で、ソフトウェアの複雑さやバージョン数は増えるばかりです。無線(OTA)アップデートは、このデジタルの多様性をさらに拡大します。外から見ると同じように見えても、デジタルサービス・機能の点で車はそれぞれにまったく異なるものになります。

これは、バックエンドとコネクテッドカーサービスにとってどのような意味を持つのでしょうか?まず、この新しいデジタル環境に適応するために、クラウドがますます複雑になることは避けられません。クラウドをツールボックスだと考えてください。便利なツールが既にたくさん入っていますが、提供している全バージョンのサービスを適切に管理するには、持っているドリルヘッドやスパナをすべて入れなければなりません。これは、顧客満足からサイバーセキュリティまでのすべての要件を満たすためです。

将来的に、こうしたコネクテッドカークラウドの複雑さはさらに増すと予想されます。自動車専用のクラウドが作られ、デジタルツインのような形で機能するかもしれません。機械学習と人工知能により、コネクテッドカーでのコード実行が強化される可能性があります。そして、自動車はその複雑なデータをクラウドに伝送し、そこで処理・改良されてから、的確な指示として車に戻されるようになるかもしれません。

5Gテクノロジーにより、データをクラウドと車とで相互処理することが可能になります。これにより、データをその時点で最も便利な場所で実行できる分配システムが実現します。コネクテッドカーサービスのインターネット接続品質への依存度が減り、コネクテッドカークラウドを真に最大限に活用できるようになるのです。

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私たちと一緒に、最先端で未来志向のコネクテッドカーサービスを作りましょう

WirelessCarは、この進化全体を間近で見てきました。そして今も私たちはこの進化の真っただ中で毎日を過ごし、活動しています。業界での20年の活動を通じて知識と経験を蓄積してきましたが、今でも新しいことを学び続けています。現在そして未来の素晴らしいコネクテッドカーサービスを成功させ、維持するためには、このようなオープンさと好奇心が極めて重要である、と信じているからです。

WirelessCarは、下位互換性の重要さと、それを実現する方法を知っています。また、コネクテッドカーの開発に関わる全プロセスや、生じうる問題、そして自動車会社がそうした障害を克服するのを支援する方法も熟知しています。当社は20年を超える経験から、自動車業界が直面している課題を把握しているだけでなく、チャンスと、それを最大限に活かす方法も認識しています。

この話題は、明らかに、範囲が広く複雑なので、今後の記事でまた取り上げます。この分野におけるWirelessCarの活動にご興味がある場合は、Henrik StrömbergまたはFredrik Nilssonまでご連絡ください。私たちの同僚の記事(自動車メーカーはどうすればコネクテッドカー向けデジタルサービスの開発と提供に成功できるか?コネクテッドカーと顧客向けに優れたデジタルサービスを構築する方法)もぜひお読みください。