コネクテッドカーと顧客のために 優れたデジタルサービスを
構築する方法

2021年11月11日

デシタル化することで、自動車やデジタルサービスの利用状況、さらにはドライバーの行動までも測定できます。OEMの課題とチャンスに関するシリーズ第3弾のこの記事では、こうした情報を実際のビジネス価値に転換する方法に焦点を当てます。コネクテッドカーのデータを利用して、コネクテッドカー向けの優れたデジタルサービスを生み出し、顧客との関係を強化するにはどうすれば良いのでしょうか?

コネクテッドカーのデータからビジネス価値を生み出す

最近はコネクテッドカーだけでなく、ソフトウェア定義自動車も大いに話題になっています。これは、自動車のライフサイクルを通じて継続的な変更や改善をソフトウェアで容易に行えるようになることを意味します。そのため自動車が工場やディーラーから送り出されるまでにすべてを定義・決定する必要はなくなりました。コネクテッドカー向けに構築するデジタルサービスは、ビジネス価値と顧客価値を生み出し、何年も何十年もそれを維持しなくてはなりません。

コネクテッドカーデータのビジネス価値を真に実現するための鍵は、可能な限り、ドライバーに便利で適切な最高のサービスを生み出し、それ継続し続けることです。そのためにはサービスを構築するだけでなく、その使用状況を測定し、顧客からのフィードバックを通じて学習・改善することが重要になります。

お客さまからのフィードバックからデジタルサービスを改善し、強力なブランドロイヤルティを築くには

コネクテッドカー向けのデジタルサービスの作成・改善に関しては、顧客からのフィードバックが重要であることは言うまでもありません。コネクテッドカーとそのデジタルサービスは顧客からの迅速なフィードバックが受けられ、新しいインサイトがこれまで以上にすばやく簡単に得られます。顧客がサービスを実際にどのように使用しているかを測定し、サービスに対する顧客の反応をアプリやダッシュボード機能などを通じて受け取ることができます。

その結果、問題点や必要な改善点を迅速に解決し、それを顧客に伝えることができます。つまり、デジタルサービスが顧客との絆の強化にも役立つのです。これまで、ドライバーと自動車会社がこのような直接的なやりとりをすることはありませんでした。デジタルサービスによって、こうした新しい関係を築いて維持し、顧客のことをよく知り、より深く理解することができるのです。

顧客のニーズや意見をすばやく把握し、すぐに対応することで、顧客からのインプットが重要であることを示せます。同時に不満を募らせ、拡散されるのを防ぐことにも役立ちます。不満を持つ顧客から批判や怒りをぶつけられることは避けられませんが、すばやいフィードバックを通じて、その批判を受け入れ、改善することができます。それがうまくいけば、ポジティブな口コミが生まれ、ブランドに対するロイヤルティが高まることを期待できます。

How to build better digital services for your connected cars and your customers

最先端のコネクテッドカーサービスを生み出すための組織やインフラは整っていますか?

上記すべてをうまくやるのは、次のような理由から難しい場合があります。

テクノロジー

コネクテッドカーとそのサービスに関するデータを収集すること自体が複雑な作業です。データの収集は、安全かつ正確で時間どおりに行う必要があります。

組織

収集されたデータは、適切に取り扱い、徹底的に分析する必要があります。そのためにはデータから自社と自社の顧客に対して可能な限り最大の価値を引き出せる多面的な組織が必要です。

プライバシー

ドライバーには、どのようなデータがなぜ収集されているかを伝える必要があります。

顧客から得たインサイトや収集した自動車データが多いほど、より良いサービスを提供できます。しかし、データの活用方法を知らなければ、優れたデジタルサービスを構築することも、そこから大きな収益を上げることもできません。

組織全体でコネクテッドカーのデータからビジネス価値を生み出す

コネクテッドカーのデータを活用して収益を上げるには、組織内のできる限り多くの部門を巻き込む必要があります。データとデジタルサービスを特定の部門だけに限定するのではなく、むしろ組織全体に浸透させ、ダッシュボードやレポートなどを通じて全関係者が利用できなければなりません。

そうすることで、組織内のさまざまな部門や機関がデータから学び、改善し、製品ソリューションに貢献できるようになります。新規サービスが生み出され、既存サービスがさらに改善するための便利なサービスやコラボレーションを生み出す土壌となるのです。多くの自動車会社やその各部門は、デジタルを使う顧客の行動とその期待に驚くほど気づいていません。これは今後、未来のモビリティを準備する上で、非常に大きな負債となります。

このプロセスに誰を関与させるべきか、その理由を含めていくつかの例を以下に示します。

製品計画

顧客はコネクテッドカーのどのサービスと機能を利用しているでしょうか?なぜ、いつ、誰が使っているでしょうか?逆に、利用されていないのはどれでしょうか?使われていないサービスや機能は削除すべきでしょうか?それとも、もっと使用されるようにして、より多くの収益を生み出すよう改善すべきでしょうか?

セールス

コネクテッドカーのデータは、顧客と顧客の好みやニーズ、そして、極めて重要な「顧客が何に喜んでお金を出すか」に関する多くのインサイトをもたらします。データからインサイトを得て、それを収益源に転換できれば、ビジネスの可能性は非常に大きくなります。

研究開発

研究開発チームが構築したデジタルサービスに対する具体的なフィードバックを受けることで、そのサービスが改善され、新しいサービスの構築も容易になります。意図したとおりに機能しないサービスでさえ、重要な足がかりにできます。もちろんコネクテッドカーサービスが正しく機能し、ドライバーに広く使用され、評価されることは、大きな満足と興奮をもたらします。

How to build better digital services for your connected cars and your customers

コネクテッドカーサービスは長期的に利用されるものであり、企業に収益をもたらすものでなければなりません

自動車業界では常に、「次の大きな波」に多くの関心が集まります。これはデジタルサービスにも当てはまります。しかし、コネクテッドカーサービスは長期的に利用されるものですから、持続するよう構築され、継続的に改善する必要があります。そうすることで、必要性と人気を保ち続けることができます。

現在の自動車会社は、この分野における準備に大きな差があります。非常に前向きな会社もあれば、まだまだの会社もあります。WirelessCarは、自社の専門知識を喜んで共有します。当社が20年以上にわたって行ってきたこと、すなわち、コネクテッドカーのデータから優れたビジネス価値を確保することを今後も続けたいと考えています。私たちは、自動車会社は、コネクテッドカーのデータが提供できる価値に対する認識が高まっていると実感しています。このことは、フィードバックが重要であり、収益を上げ、顧客との関係を強化する役割を担うことを意味します。

この分野における当社の活動に関して質問がある場合は、Martin Lundhまでご連絡ください。WirelessCarのコラボレーションやパートナーシップ、そして私たちの活動についての記事もぜひお読みください。WirelessCarブログには、このシリーズの別の2つの記事(自動車会社にとってコネクテッドカーソフトウェアの最大の課題とチャンスは何か?自動車会社はどうすればコネクテッドカー向けデジタルサービスの開発と提供に成功できるか?)などの記事が多数あります。

Martin Lundh
シニア製品マネージャー