コネクテッドカーのデータに 基づくデジタルサービスは 持続可能なモビリティに どのような貢献ができるでしょうか?

2022年9月21日

持続可能なモビリティの実現にはコネクテッドカーが不可欠であり、コネクテッドカーのデータはそれを実現するために重要な役割を果たします。持続可能なモビリティとは、車のCO₂排出を削減することに止まりません。車ごとの排出量削減は自動車会社の共通目標であり、循環型素材と再生可能燃料がソリューションの重要な要素としてしばしば言及されます。しかし、自動車のデータに基づくデジタルサービスとインサイトもまた、車のライフサイクル全体での排出量の削減に役立ちます。これは持続可能なモビリティとより広い社会全体の持続可能性の向上の両方に貢献します。

持続可能なモビリティとは、ライフサイクルの排出量削減から
より大きな視点に立つことへの移行を意味する

温室効果ガスプロトコル(GHGプロトコル)は、世界で最も広く使われている温室効果ガス排出量算定基準を提供している組織です。これにはさまざまな種類の温室効果ガスの直接・間接の排出源を網羅した3つのスコープがあります。企業、NGO、政府機関は、これらの基準とスコープを使用して、それぞれが環境に与える影響を測定し、持続可能性に関する野心的な目標を設定することができます。

以前、スコープ2と3におけるWirelessCarの排出量削減活動についての記事を書きました。再生可能エネルギーと効率向上を通じたソリューションの運用と、自動車データが気候に与える影響を理解することの重要性についてです。コネクテッドカーの数が増え、より多くのデータを生成するようになるにつれ、自動車会社やデジタルサービスプロバイダーにとってこうした要素はますます重要になってきます。

まずは、デジタルサービスの運用による排出量削減がスタートになります。しかし、持続可能なモビリティを実現するためには、自動車業界は自社のバリューチェーンとデジタルサービスの両方に取り組まねばなりません。そうすることで、個々の車のライフサイクルの中だけでなく、社会全体の排出量も削減できるのです。組織の内外で、自動車だけに止まらないモビリティソリューションを提供することなどが望まれます。コネクテッドカーのデータは、この問題に取り組むためのまざまな機会をもたらします。

a charging electric car

デジタルサービスが持続可能なモビリティの実現に
貢献する7つの方法

  • コネクテッドカーのデータは電気自動車の導入を促進する
    コネクテッドカーのデータは、走行距離、ルートプランニング、バッテリーの充電、充電インフラへのアクセス、決済など、電気自動車に対してドライバーが抱えている最も一般的な懸念の多くを自動車会社が解消するのに役立ちます。デジタルサービスによって電気自動車を借りる、または所有することのメリットや手軽さをドライバーに伝えられれば、それが電気自動車への移行、特に貴社の電気自動車への移行を促す強い動機付けになります。また、以前のドライバー行動に基づいて、適切なバッテリーサイズを推奨できれば、最適なスペックの電気自動車を手に入れるための障壁が低くなります。
  • コネクテッドカーのデータは運用時の排出量削減に役立つ
    自動車の製造段階において、使用状況やドライバーの行動に関するデータは最適化された製品開発のためのインプットになり得ます。資源はより効率的に使用され、排出量は推定ではなく測定することが可能になります。
  • 予防メンテナンスと車両状態レポートで車の寿命を伸ばす
    車両の寿命を伸ばすことで、製造される各車両の効率を高めることができます。その方法の1つが、ユーザー/所有者/リース利用者に予防メンテナンスサービスを提供することです。また、車両状態に関するレポートを提供することで中古購入者の購買意欲を高める事ができます。
  • 効率的なシェアリングと持続可能なモビリティで車両稼働率を高める
    仕事から通勤/移動、消費までのあらゆる側面で自動車の使い方が新しくなっているため、モビリティは、今よりさらに柔軟でアクセスしやすいものにならなければなりません。その一方で、ほとんどの車はその寿命の約95%の間、駐車されたままになっています。
    自動車がいつ、どれくらい実際に使用されていて、カーシェアと配車のサービスがいつ、どこで最も人気があるのかを把握することで、自動車会社はその市場への参入が可能になります。シェアードモビリティにより、自動車会社はドライバーが車を所有しなくても簡単に利用できるようにすることで、車の稼働率を最大化できます。シェアードモビリティは、資源を節約して顧客の移動のニーズに応えるだけでなく、都市での渋滞、公害、温室効果ガス排出量の低減にも役立ちます。コネクテッドカーのデータを利用することで、シェアードモビリティのエコシステムの点と点をつなぐだけでなく、その可能性を最大限に引き出すことができます。自律走行車が登場すれば、車ではなくモビリティを販売できる可能性がさらに高まります。
  • 利用機会を拡大することで車両の稼働率を高める
    車がどのように使われているのかを知ると、車を他の目的でいつ、どこで使用すれば、排出ガスを出さないようにするかを示す事ができます。たとえば、配達物を車のトランクで受け取ることや、電気自動車を再生可能エネルギーのバックアップとして使うことができます。ドライバーの行動に基づいたデジタルサービスにより、自動車は単なる移動手段ではなくなるのです。
  • 持続可能な社会の実現に、持続可能なモビリティは欠かせない
    前述のとおり、世界中の多くの都市が渋滞、排気ガス、インフラ整備のためのスペース不足などの課題に直面しています。コネクテッドカーのデータは、都市の交通パターン、ドライバーの行動、インフラの脆弱性などに関するユニークなインサイトを提供します。このデータを分析することは、よりスマートで持続可能なモビリティのみでなく、ドライバーにとっても、そうでない人にとっても、より良い都市とコミュニティの構築に役立ちます。これを魅力的で信頼性の高い方法で製品化することができれば、自動車会社にとって新たなビジネス価値を生むことができます。
  • ドライバーの行動に関するインサイトが、持続可能なモビリティを促進し、コネクテッドカーサービスを向上させる
    コネクテッドカーのデータから利用パターンを分析し、ドライバーにより安全で持続可能な行動を促す行動を推奨することができます。このデータはドライバーがコネクテッドカーサービスをどのように使っているか、また、そうしたサービスをいかに改良・向上できるかに関する直接的なインサイトも提供します。

上記を実行することで、スマートなデジタルサービスと最適な資源利用によるビジネス価値を生み出します。 またエネルギー消費と輸送にともなう排出量の削減にもつながります。つまり社会にメリットをもたらし、グリーンエネルギーへの大規模な移行を促進します。

a smiling man driving a car

持続可能なモビリティの促進・貢献のために
当社がしていること

持続可能性は、モビリティの未来の基本的な側面です。国や都市、国際立法機関が自動車業界に求める持続可能性関連の要求はますます厳しくなるでしょう。同様にドライバーも自動車会社に対して、公共交通機関やエネルギー消費の多い自動車に替わる持続可能な手段の提供を求めています。 自動車会社はすでに多くの対策を実施していますが、当社は自動車データとデジタルサービスを積極的に活用することでさらなる価値をもたらすことができると信じています。この現実に早く適応するほど(そして、そのメリットを早く学ぶほど)、より多くのものを得ることができるのです。

WirelessCarは、顧客の持続可能性に関する課題と機会に対処するための製品ソリューションを開発しています。将来的には、こうした製品・ソリューションの影響と貢献を測定・評価するとともに、その効率性と改善の方法を示し、排出量を削減する使用方法を理解することを目指しています。当社のこうした活動から、自動車会社はコネクテッドカーを通じて安全かつスマートで持続可能なモビリティを提供し、それらが生み出すデータを最大限に活用できるようになります。

コネクテッドカーのデータを最大限に活用するために、私たちはどのようなお手伝いができるでしょうか?コネクテッドカーサービスが持続可能なモビリティと新たな収益源の両方にいかに貢献できるか、もっと知りたいと思いませんか?あるいは、どのようなデータの抽出と活用ができるのか確認してみませんか?当社では、コラボレーションが大きな成果を上げると強く信じています。どうぞご遠慮なく、Elin Engkvistまでご連絡ください。持続可能性に対する当社の取り組みや、他の関連記事(モビリティインサイト:コネクテッドカーデータがいかにモビリティを最適化し、持続可能性を高めるインセンティブとなるか?ソフトウェア定義自動車が気候に与える影響とは?)もお読みいただけます。

Elin Engkvist
内部通信&持続可能性の責任者